年齢による物忘れと認知症の違いが解らず、不安になっておられる方がいると思います。
大まかな違いを、わかりやすく表にしてみました。
年齢による | 認知症による | |
体験 | 一部だけ忘れる 例)旅行に行ったが、途中で寄った店の名前が思い出せない。 | 全部忘れてしまう 例)旅行にいったことすら思い出せない。 |
記憶障害* | 想起障害 例)「あれあれ、ほらあれだよ」と出てこない。 | 記銘障害 例)5分前に話していたことでも、「初めて聞いた」と、何度も同じ話を繰り返しても覚えられない。 |
思いだし | ヒントがあれば可能 | ヒントがあっても不可能 |
見当 | 時間や場所は可能 例)頭の中には浮かんでいるので、場所の名前は出てこないが、他の言葉で説明できる。 | 時間や場所すら不可能 例)今を、何十年も前のころと錯覚していたり、夕方になると「仕事が終わったので、家に帰らなくちゃ」と言う。 |
日常生活 | 支障はない 例)トイレや食事には支障はない。 | 生活が困難 例)トイレがわからなくなったり、食べてはいけないものを食べてしまう~自分の便を食べてしまうこともある。 |
自覚 | 物忘れを自覚している 例)自分で物忘れがひどくなった、と感じている。 | 物忘れには気づかない 例)忘れたことすら忘れているので、気づかない。 |
*記憶とは、「記銘」、「保持」、「想起」の3段階から成り立っています。
まず「記銘」機能により覚え込み、「保持」機能で維持し、「想起」機能によって思い出すのです。
この、「想起」だけが衰えると、「ほら、あれあれ。 あのほら、もう ここまで出てきてるんだけど・・・。」となります。